2012年9月12日水曜日

昨日の夢

私と妹は母に捨てられ、親元を離れることになった。

果実用の木のカートンを座席に、この電車は海面にはられた線路を走る。目的地に近づくにつれ、青く輝く海は徐々に黒く、粘り気と光沢のある、地から湧き出る石油と変わってゆく。妹は親元を離れられ自由になる喜びしか感じていないようだ。私も夢見ていた一人暮らしであったはずが、親に捨てられた悲しみ、故郷への思い、これからの人生に対する不安に、絶望まではたどり着かないやるせなさを感じてしまった。石油は日光の下でギラギラと照り返し、不気味だった。

電車を降りて駅を出る。電車が停まったホームは周り一面油田と森林であったのに、駅を出たら綺麗な都会の街並みだった。私は何をして良いのか分からなかった。強引に与えられた自由はあまりにも不自然に感じた。

私はとりあえず駅前の交差点をわたり、近くの大きな雑貨屋に入る。ミニマルなガラス張りの外見はまるでオフィスのようだった。むしろ、一階が雑貨屋で二階からはオフィスだったのかもしれない。そこの中の一つのお店で私の好きなモデルさん絶賛の洋服・雑貨が売っていることを思い出した。しかし行ってみると、記憶に残っていた可愛くセンスの良い服とは遥かに別物で、どれもつまらないデザインでただ頑張りすぎた、見た目チープなくせして値段が高すぎるものばかりだった。

私は残念に思いながら軽蔑する目で眺めていると、綺麗な女性の店員さんがこちらに来て、「まだお店は開店ではありませんが、何かお探しのものはありますか?」と尋ねてきた。私はあたふたして、今の心境でどう答えればよいのか分からず、失礼だと思う余裕もなく、急いで店を立ち去った。

行き場をなくし、たまたま目に入った美容院に足を運んでみる。

母に以前、「髪を切れ、だらしない」と言われた記憶が微かに残っていて、それを無意識のうちに思い出し行動をとってしまったことに気付いた時は既に美容院の中にいた。自分は自分の意志など知らず、親元を離れたって親の言うことに絶えず従う偽善者なのだな、と。

白衣の様なものを着た30歳半ばくらいの男性が現れ、サービスでまずは顔のマッサージをすると言い、メニューを持ってきた。無駄に「!」や「♡」の多い、いかにも若い女性向けに作った鼻に付く文章を並べたあきれるようなメニューだったが、私は「鼻のマッサージ」、「ニキビだと思っていた膨らみが実は違うものなのかも…!?!?!?」というタイトルに惹かれ、それに決めた。二、三カ月前から鼻と目の間くらいの位置にできた脂肪腫のようなものがなかなか治らず、気になっていたからだ。3:02am、目が覚めた。

0 件のコメント:

コメントを投稿